市川 浩司
(担当:生地づくり / 入社:2018年)
働くことになったきっかけ
もともと別の窯元で働いていたのですがそこを退職し、有田の就労継続支援事業所「やきものの里」で指導員をしていたところ、アクセンチュアさんとのコラボ商品で社長から相談を受けたことがはじまりです。
コラボもひと段落し、事業所を辞めるタイミングで、その橋渡し役として幸楽窯にはいることとなりました。前職では、生地づくりから絵付け、本窯までやる「なんでも屋」ということで(笑)、当時手薄になっていた生地づくりを中心に即戦力としてお世話になることになりました。
幸楽窯での仕事
生地づくりを行っていますが、新しい企画の話があるときは、若いデザイナーと一緒になって、いろいろな実験をしたりして取り組みます。
だから、幸楽窯に来てからというもの、今まで経験した以外のことをたくさん体験することができて、非常におもしろいんです。
例えば今は、漆喰の材料である珪藻土の吸収性を活かした焼きものができないか、という提案に応えるべく、様々な試験を行っています。全くのノウハウはないところからスタートするので大変ではあるのですが、たとえよい結果が得られなくても、そのプロセスで得られる経験を次に活かせます。50歳過ぎてますけど、毎日が勉強の場で、非常に刺激があります。
自分だけでやっていたときには、わからないことを聞くことはなかなか難しかったのですが、今は「幸楽窯でこういうことやってるんだけど、ちょっとわからんことがある」と内外の人に聞きやすくなりましたね。
外からの刺激
あとは、トレジャーハンティングやアーティスト・イン・レジデンスといった取り組みで、お客様や外国のアーティストとの交流があり、その感性にふれる機会が増えたことも、ものすごく刺激になっています。
この前シンガポールからいらっしゃったアーティストの方たちは、全身花だらけの焼き物の人形つくったりして、自分ならとてもじゃないけど思いつかない(笑)
今までの有田は割烹食器で成り立っていたんですが、そこに外部からの刺激が加わることでものづくりに対する考え方も変わってきました。固定概念がとっぱわれて、人生終焉迎えるようなオヤジがここにきてたくさんの刺激をもらっています。
これからの窯業、これからの有田
人材が非常に不足していることは数年前から言われているんですけど、幸楽窯であれば若い人たちにも興味をもって仕事に取り組んでもらえるのではないかと思います。こういったオープンな取り組みをする窯元が増えて、有田全体でもっと若い人たちに注目していただけるような流れになればいいなと思っています。
例えば、観光客を誘致すると言っても、今は日本人だけじゃありません。私は英語全然しゃべれませんけど、それでも免疫ができるんですよ。そうやって自然に「こんにちは」と声をかけることが有田のためになっているかもしれないと思っています。
昔は、新しいことをやると色々言われたり、しがらみもあったのかもしれませんが、今は「どうぞやってください」という気持ちです。フォローは私たちがしますので、ぜひ自由に、好きにやってほしいです。